みやわきろく

団地でのびのびひとりぐらし

分籍の手続きをしてきた

引っ越しに向けての手続きを色々と進めているのだが、ひとつやっておかなければならないことがあった。
それは両親の戸籍から完全に抜ける、すなわち分籍をするということだった。

分籍とは

分籍とは、戸籍の筆頭者およびその配偶者以外で成年に達している人が、その在籍している戸籍から抜けて単独の戸籍を編製することです。

分籍しても、戸籍を分けるだけで親兄弟(祖父母なども全て)との親族関係は、それまでと何ら変わりません。
一度分籍すると、氏を同じくしたまま従前の戸籍には戻れません。

引用:柏崎市HP

引用文にも記載されている通り、分籍したからといって親との血縁関係を完全に切ることはできない。分籍とはその名の通りただ「戸籍を分けるだけ」であり、それ以上でもなければそれ以下でもない。分籍をしてもしなくても、あの毒親の子であるという事実は永遠に変わらない。
(「たとえ虐待されていたとしても親からは決して逃れられないような法律になっている」あたり、根深い問題点があるように感じている)

それでも分籍という手続きをとった理由には以下のものがある。

分籍の理由

1.現住所を辿られにくくするため

今の住所は残念ながら毒親に知られてしまっている。
引越し先をできるだけ毒母に知られないように引っ越しをしたはずだった。しかし「母には絶対に知らせないように」と念押しして父親にだけ住所を伝えたところ、毒母が勝手に住所のメモを見たのか、あるいは彼が約束を破ったのかはわからないがある日毒母から長文の封書が届いたという事件が発生した。父を問い詰めたところしらばっくれていた*1ため、このときから父も全く信用しなくなったという悲しい事件だった。

そんな事があってから、「次の引っ越しのときにはできるだけ住所がわからないようにしよう」と決意していた。

同じ戸籍に入ったままだと、どれだけ住所を伏せようとしても戸籍の附票を取り寄せれば現住所がわかってしまう。
しかし分籍をして自分だけの戸籍を作ってしまえば、戸籍を抜けてからの住所は分籍後の本籍地から附票を取り寄せなければ知られることはない。相続などの手続きに必要ということでなく、ただ住所が知りたいという目的だけでわざわざ労力をかけて分籍後の本籍地から附票を取り寄せるようなことはしないだろう。うちの毒母はそこまで執念深い女ではないのが救いだ。

2.気持ちの問題

旧本籍地は幼少期から過ごしてきた場所であり、いい思い出よりも嫌な思い出のほうが圧倒的に多い。いじめられた思い出もあれば、家事を押し付けられて苦労した思い出もあり、思い出したくないことがたくさんある*2

そんな記憶ばかりの本籍地がいつまでも自分の戸籍に残り続けるというのは、本籍地を見る機会が少ないとはいえ嫌なものだ。
どうせなら自分にとっていい思い出があり、かつ今の住所とも転居先の住所ともまったく関係がない場所を本籍地として選びたかった。

そこでわたしが本籍地として選択したのが、日本武道館の住所だった。

武道館 (文春文庫)

武道館 (文春文庫)

武道館はわたしが初めて夜行バスを使って遠征したコンサート会場なので思い入れのある場所となっている。
また管轄が東京都千代田区であるため、両親が戸籍の附票を請求する場合は郵送での手続きになることから、住所を知るための手続きを煩雑化するという目的は十分に果たせる。両親ともに頭が良くない上調べるということができないので、そもそも「現地に行かないと取得できない」と思い込んでいる可能性もある。それならそれでなおさらありがたい。

では自分で取るときはというと、わたしはすでにe-Taxを使用する目的でマイナンバーカードを取得している。千代田区はコンビニでの証明書取得に対応している自治体であるし何の不都合も生じない。持っててよかった、マイナンバーカード。

3.親に対する明確な意思表示のため

タイトルを忘れてしまったのだが、去年読んだとある小説に「パスポートを取得する際に分籍して親の戸籍から抜け、それを知った母親が彼女の行為に激怒する」というシーンがあった。この小説の主人公も過干渉な母親に頭を悩まされており、分籍し親の戸籍から抜けることで新たな人生を歩もうとしていた。
彼女の姿を自分と重ねて読んでいたわたしは、このシーンを見て「戸籍から抜けることにより、親に心理的なダメージを与えることができる」ということを知った。自分の思い通りに動く人形だと思っていた娘が、自分の意志で決別しようとしていることを知る。「もう金輪際おまえたちには関わらない」という明確な意思表示を行う効果が、「戸籍を分ける」という行為にあるのかもしれない。

分籍の手続き

もとの本籍地は兵庫県神戸市にあり、移す先の本籍地は東京都千代田区なので手続きのためにはまず戸籍謄本を取得しなければならない。
今はマイナンバーカードを使えば取得の手続きもコンビニでできるようになっている。

www.lg-waps.go.jp

わたしの場合は神戸市に利用申請をして、3日程度で取得できる状態になっていた。コンビニで戸籍謄本を取得してから市役所へ。

市役所では分籍届を書いて、取得しておいた戸籍謄本と一緒に提出するだけだ。新しい本籍地を管轄する自治体(今回の場合は東京都千代田区)に本籍地が正しいかどうかの確認を行うため少々時間がかかる場合があるが、30分程度で手続きが完了した。
分籍するにあたりその理由を聞かれることはなかった。「一度分籍してしまうともとの戸籍には戻れない」との説明を受けることもなかった。(そもそも分籍の手続自体があまり一般的ではないため、やろうと思う人はそのリスクも知っているはずだと思われているのかもしれない)

話の流れで「引っ越しをするつもりなのだが、住所を知られたくなくて…」と話してしまったので、担当の方から「DV措置支援、必要でしょうか…」と心配されてしまい申し訳なかった。もちろん、住民票の閲覧制限など支援していただけるのであればとてもありがたいのだが、いかんせん現時点での実害がなく、当時の証拠も残っていないので支援は受けられないように思う。実害が出てから検討するでもいいような気がしている。

自由はすぐそこに

新戸籍の編成まで1週間程度はかかるとのことであったが、とりあえずこれで親の戸籍から抜け、わたしは戸籍上においても親の呪縛から解かれ自由になった。

現時点で結婚できる見込みを1ミクロンも感じられないこともあって、戸籍という呪縛からは永遠に逃れられないものだと思いこんでいた。
毒親から逃げたサバイバーの方々のブログや書籍を読み漁っていくうちにこの「分籍」という手続きを知り、結婚せずとも家の呪縛から離れられるということを知った。たとえ法律が親との離縁を認めていなくても、実質的に縁を切る方法は数多く存在している。

自分の精神を健康に保つために、今後もできる限りの制度を活用して親を棄てていくつもりだ。
わたしは、全身全霊をかけてわたしの人生を取り戻す。過去の自分と、未来の自分のために。

*1:「お前が母に知らせたんじゃないのか」みたいな口ぶりだった。念押しの意味がわからないほど馬鹿だったようだ

*2:事実、わたしには小学校高学年〜大学あたりの記憶がほとんどない。心を守るために忘れてしまっているのだろう