みやわきろく

団地でのびのびひとりぐらし

心のかたちに沿う音楽

親からも友人からも疎まれていた少女時代のわたしにとって、音楽だけが唯一の心の拠り所だった。
ヘッドホンを付け、音楽の世界に没頭している間だけは日々のことをすべて忘れることができる。「あなたはひとりなんかじゃない」と励まされているような気持ちになる。どれだけ親から人格を否定されようとも、クラスメイトからいじめられようとも、「明日だけでも頑張って生きてみようかな」という気持ちになれる。それがわたしにとっての「音楽」だった。

SIAM SHADE IV・Zero

SIAM SHADE IV・Zero

  • アーティスト:SIAM SHADE
  • 発売日: 1998/01/21
  • メディア: CD
初めて自分でお金を出して買ったアルバム。

狭く深く→広く浅くへ

ここ数年で、音楽業界はずいぶんと様変わりした。
定額制の聴き放題サービスが一般的になり、これまでよりも多くの音楽に手軽に触れられるようになった。数年前までは「ちょっと気になる」程度の曲であれば友人から借りるか、あるいはTSUTAYAでCDを借りてこなければならなかったというのに、ちょっと検索してお気に入りに入れればいつでもその曲を聴けるようになった。いい時代になったものだと思う。

どっぷりとバンギャの世界に浸かっていた学生時代はそれこそV系の音楽か、アメリカン・ロックくらいしか聴かなかったけれども、そんな時代の変化に合わせて聴く音楽のジャンルも増えていった。現在、わたしのSpotifyのお気に入りは髭男もあれば岡崎体育もあればParov StelarもあればExtremeもあるというとんでもないカオス状態になってしまっている。

ここ1年で聴きまくったのはEDM(特にElectro Swing)系のマッシュアップ。一番好きなものを貼っておく
(この人のマッシュアップはどれも好き)

こうしていろんなジャンルの音楽に触れる機会が増えることで、「自分の心に沿う音楽」が見つかりやすくなったように感じている。

「心に沿う音楽」とは

生きているといろんなことがある。誰からも愛されていないと悩んだ日々、仕事がうまくいかず悩んだ日々、眠れない夜。そんな日々一瞬一瞬の状況ごとに、自分の心の状態にぴったりと合う音楽が存在すると思っている。わたしはそれを「心に沿う音楽」と呼んでいる。

心に沿う音楽は、見つけようとして見つかるものではない。だいたいは手持ちの曲をなんとなくシャッフル再生していると、ふと歌詞が耳に残って「ああ、いまわたしが求めていたのはこの曲だったんだ」と感じる。あるいは、別の曲を聴いているときにふと歌詞が頭の中に浮かんできて再生したくなる。そういったものだ。
なので、心に沿う曲と出会うためには、まず自分の音楽の引き出しを多く持っておかなければならない。多くの曲をたくさん聴きこんでおくことで、ふとした瞬間にその曲が頭の中に浮かび上がってくるようになる。

心に沿う音楽と出会った瞬間の嬉しさは他のものに代えがたい。これまで言葉にすることができなかった感情をうまく表してくれたという喜び。歌という形で言葉にされることにより感情が開放されていき、心が晴れやかになっていく感覚。欠けていたパズルのピースがかちりと合って、絵柄が完成したような感覚。そして自分の感情を代弁してくれたアーティストのことをますます好きになっていく。これは他の趣味などではなかなか味わえないことなのではないかと感じている。

作品はいつまでも残り続ける

わたしが今聴いているアーティストの中には、もう解散してしまっていたり、活動を休止してしまったりしている人たちも多い。
彼らの生歌を聴いたり、新しい曲に触れたりすることはできなくても、これまでに作られた作品たちはいつまでも残り続けていく。ふとした瞬間に、数十年前の曲が「心に沿う音楽」として浮かび上がってくることもある。
権利等々で難しい部分もあるのかもしれないが、今はもういなくなってしまったアーティストの曲であっても、手軽に触れられるような環境はぜひ残しておいてもらいたいと思う。

その曲が、深い海の底に沈んでしまった自分の心を、浮かび上がらせてくれるかもしれないのだから。